浮気の定理
一人になったリビングで、よしっと気合いをいれる。



まずはお粥を作ろうとキッチンへ足を踏み入れた。



冷蔵庫の中を覗いてみたけれど、アルコールくらいしか入っていない。



仕方なくオーソドックスな白粥を作ると、出来上がったお粥を器に移して、トレーに薬と水の入ったグラスも一緒に乗せた。


リビングを出てすぐ隣にある寝室だろうドアを、一応軽くノックしてからゆっくりと開けてみる。



「……飯島さん?」



小さな声で呼んでみた。



返事は……ない。



ぐるりと見回すと寝室はリビング同様、黒で統一されたシックな部屋だった。
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