浮気の定理
大きめのベッドはダブルだろうか?



飯島さんはその真ん中に小さく丸まって苦しそうに眠っていた。



また熱が上がってるのかもしれない。



額には汗が滲んでる。



そっと近づいて、ベッドの脇のチェストにお粥を乗せたお盆を置いた。



どうしようか悩んだけれど、やはり薬を飲ませた方がいい気がして、優しくゆすってみる。



「飯島さん?お粥出来ましたよ」



「ん……あ…れ?しみ…ず……さん?」



彼は寝ぼけているのか、不思議そうに私の顔を見つめて、そう言いながら手を伸ばしてくる。



その手が私の頬に触れた瞬間、体がビクッと震えた。



何か言わなくちゃいけないのに、まだそのまま触れていてほしい気持ちが私を支配する。
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