浮気の定理
それから、彼の休みに合わせて私も休みを取ることが多くなった。



彼と過ごす時間は予想以上に楽しくて、会うたび惹かれていくのがわかった。



「清水さんは家庭のある人なのに、僕なんかに付き合わせちゃってすみません」



いつも、楽しかった時間の後には、彼はそういって締めくくる。



そんな彼が好きだった。



私が人妻であることを気にしてくれている優しさが嬉しかったのかもしれない。



それでもなお、私と会いたいんだと言われてる気がして、女としての喜びに震えた。
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