浮気の定理
ありさの選択④
「お前さ……浮気してるだろ?」
息が止まるかと思った。
疑われているとは思っていたけれど、ダイレクトに聞いてくるとは思ってなかったから……
「なに言ってんのよ、そんなわけないでしょ?」
バカバカしいとでもいうようにそう言って、視線をカップに移す。
娘たちが寝静まった夫婦の時間。
コーヒーを飲みながら、こうして向かい合うのも久しぶりな気がした。
「俺、見たんだよ」
ドキリとした。
いったい何を見たと言うんだろう?