浮気の定理
「いいやつだと思うよ?桃子だってそう思うでしょ?」



そう答えると桃子は満足そうな顔で微笑んだ。



うっとりしそうなくらい綺麗な笑顔に、真由は内心ドキリとする。



「そっか、良かった」



それだけ言うと、桃子はまた前を向いてグラスの縁を弄んだ。



短くなった髪は、襟足に届くか届かないくらいの長さで、それがまたうなじを色っぽく演出している。



「今の職場は変なのいない?桃子、綺麗だから心配だよ。もう山本だって傍にいないんだしさ」
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