浮気の定理
それでもそんな思いを押し隠して、いいんですか?ごちそうさまですなんて、嬉しそうに笑って見せる。



それを見て水落は、満足そうに微笑むと、私の腰にスッと手を添えて、エスコートするように店を出た。



タクシーを停めて一緒に乗り込む。



「途中でコンビニに寄って、お酒とおつまみ買っていきましょうよ?」



行き先を告げようとする水落に、山本に言われた通り、時間稼ぎしようとそう言った。



「酒もつまみも、うちにあるから大丈夫だよ」



そう答える水落に、内心舌打ちをしながら平静を装って続ける。
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