浮気の定理
「真由ちゃん!無茶すんなって言ってんのに、なんで全部、自分でやろうとすんだよ!

少しは頼ってくれてもいいんじゃない?俺を」



頼れるわけない。



この計画はすべて自分が考えたものだ。



保険で山本にはいてもらってるけど、本来は一人でやるつもりだった。



山本に電話した時点で、すでに頼っていることになるんだろうけど、それでも迷惑はかけたくなかった。



なんて答えようかと口ごもっていた、ちょうどその時――



水落の呻くような声が聞こえてきた。



「ごめん、あいつ起きそうだから」



慌てながらそれだけ言って、スマホを通話にしたまま、またポケットに忍ばせた。
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