浮気の定理
「木下桃子に2度と関わらないって約束しなさい」



「……っ!お前……木下の……」



見抜けなかった自分が悔しかったのか、水落の顔が、くしゃりと歪んだ。



「ま、桃子を脅してた材料はすべて消させてもらったから、もう脅しにはならないかもしれないけど」



得意げにそう言ってやると、水落がハッとしたようにパソコンとグラスの中に浸されたスマホに目をやった。



そしてその言葉が本当なのだとわかると、ガックリと項垂れる。



「他に隠してるなら、今のうちに正直に教えといた方がいいわよ?」



畳み掛けるようにそう言えば、水落は思い出したように顔を上げた。
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