浮気の定理
きっと私が口からでまかせを言っていると思ったんだろう。



水落は怯むことなく、言い返してくる。



「お前、覚えてろよ!こんなことして、ただで済むと思うな!」



そう捨てセリフを吐く水落を冷たい目で眺めながら、口の片端だけを上げて嘲るように笑った。



「さっきの、聞こえなかった?

こっちにはあんたを脅すだけの材料があんのよ

ほら、これ、見えるかな?」



よく見えるようにスマホの画面を顔の近くに寄せると、水落の顔はみるみる青くなっていった。



「わかった?あんたのことは全部調べてあるの

これ、職場や実家に送られたくないよねぇ?

それに、桃子へのストーカー行為もちゃんと証拠は残してあるから、もしなんかあれば警察に持ってったっていいのよ?」
< 529 / 730 >

この作品をシェア

pagetop