浮気の定理
水落の必死な願いなど、もう私の耳には届いていなかった。



知らされた現実はあまりにも酷(むご)い。



自分の都合で桃子をこんな男に差し出したんだと思うと、怒りで体が震えた。



――あの男、絶対に許さない!



静かな怒りを必死に抑えながら、目の前でまだ言い訳がましく何か言っている水落が哀れになった。



結局、こいつも踊らされてただけってわけか……



「わかった、この画像を消すかどうかは考えとく

でもしばらくはあんたの日頃の行いを見てからにするわ

今回の計画は私一人でやってるんじゃないの

仲間がたくさんいるから、あんたの行動はお見通しよ?

変な真似したらすぐに警察に通報するし、この画像もばらまくから」
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