浮気の定理
けれど彼はあっさりとそれを肯定した。



「もちろんだよ

先輩にもきちんと離婚してから挨拶に行こうと思ってる」



――はっ!?



嘘でしょ?なに言っちゃってんの?このおじさん……



「……悪いけど、それは、ない」



「え?」



「だから、あたしは北川さんと結婚する気なんかないから

離婚するのは勝手だけど、あたしとも別れて?」



そう言うと、北川は目を見開いて驚いた顔で私を見る。



それから急に私の手を握りしめて、必死に訴え始めた。



「真由……ほんとに悪かったよ

今まであまり会えなかったことは謝る

だからそんなにヘソを曲げないでくれ

君の本当の気持ちはわかってるつもりだから……」
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