浮気の定理
「わかってる……

真由ちゃんが僕のために身を引いてくれようとしてるんだってことは

だけどそんな嘘つかなくたっていいんだ

離婚すれば誰に遠慮することなく会えるんだから」



……えっと、どうしたらそんなポジティブ思考になれるのかな?



私はもうだいぶ面倒になってきていた。



小さく溜め息をつきながら前を向くと、そこにはいつものバーテンダーの彼が、素知らぬ顔で立っている。



きっと呆れてるんだろうなぁと思いながら、やっぱり好みのタイプだな、なんてどうでもいいことを考えた。
< 552 / 730 >

この作品をシェア

pagetop