浮気の定理
「あれ?真由ちゃん?」



どう答えようかモヤモヤと考えていたとき、聞き覚えのある声が私の名前を呼んだ。



――もしかして、救世主?



クルリと振り返れば、そこには山本の姿。



「山本くん!いいところにきてくれた」



私は急いで席を立つと、山本の傍に走り寄る。



そして彼の腕に自分の腕を絡めて、北川に言った。



「北川さん、この人なの。今、お付き合いしてる人」



ねっ?と可愛くはにかんで、山本の顔を見上げれば、彼は一瞬ピクリと片眉を上げたものの、きちんと応えてくれる。
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