浮気の定理
「あ~……はい、最近付き合い始めたんです。真由ちゃん、紹介してよ」



なんてニコリと笑う。



察しのいい男は好きだ。



さすが山本と思いながら、私は北川を紹介した。



「えっと、父の知り合いで、親戚のおじさんみたいに、お世話になってる北川さん」



にっこり笑いながらそう言えば、北川が苦虫を潰したような顔でこちらを見た。



もっとスマートな大人だと思ってたのに、今、目の前にいる男は愚直なだけの子供みたいだ。



山本の方がよっぽど大人に見える……と深い溜め息をつく。
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