浮気の定理
思った以上の山本の援護に、心の中でありがとうと呟く。


あとでなんかごちそうしなきゃね?と思いながら。



北川はそう言われてギョッとしたように山本を見たあと、苦々しい顔で視線を私に移した。



「待ち合わせてたのか?真由……」



怒りとも悲しみともいえない北川の表情を見て、少しだけ申し訳ない気持ちになったけど、しっかりと彼の目を見据えて答える。



「うん、そうなんだ。だから彼も一緒に……いいでしょ?」



口ではそう言いながらも、本当は北川の方が帰って欲しかった。



そんな思いが顔に出ていたんだろうか?



北川はしばらく黙ったまま私の顔を見つめていたけれど、そのうち諦めたように息を吐いた。



それからおもむろに席を立つ。
< 560 / 730 >

この作品をシェア

pagetop