浮気の定理
確認すると、そこには自宅の文字。



「あれ?父からだ……ごめん、出てもいい?」



許可を取るようにそう聞けば、山本は黙ったままどうぞ?と手で合図した。



私は小さく頷いてから、山本に背を向けるように電話に出る。



「もしもし?お父さん?どうしたの?

えっ?今?もうすぐ家に着くけど……

うん、わかった、じゃあまた後でね?」



電話を切ってからも、しばらくスマホの画面を見つめる。



そんな様子に気付いた山本が、不思議そうに声をかけてきた。



「真由ちゃん?どうした?お父さん、なんだって?」
< 567 / 730 >

この作品をシェア

pagetop