浮気の定理
「……うん。なんかわかんないけど、話があるからすぐ帰ってこいって……」



浮かない顔でそう言うと、山本が心配そうに覗きこんでくる。



「俺、一緒に行ってやろうか?」



労るようにそう言った山本の言葉に、ハッと我に返った。



「や、大丈夫!気にしないで?

それに山本くん連れてったら、そっちのが騒ぎになっちゃうから」



顔の前で両手を振りながらそう断ると、山本はまだ納得出来ないというような顔で私を見た。



「あ…のね?あたし、男の子とか、彼氏でも友達でも、父に会わせたことないの

だから山本くん連れてったら本当にパニックになると思うのよ」
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