浮気の定理
山本の胸を両手でグッと押し戻して、それ以上言ってくれるなと拒絶する。



涙に濡れた頬が空気に触れてひんやりとした。



「あ……たしは!桃子を好きな山本くんが好きなの!なのに……なんでそんなこと言うの?」



「俺は、桃子のこと大好きな真由ちゃんも、真由ちゃん自身も全部好きだよ?

それに桃子のことは、昔は確かにそうだったかもしれないけど、今は……大事な友達なんだ

恋愛感情は……ない」



絶句した。やっぱり……ずっと続く恋なんてないんだと……



「ほら!やっぱり山本くんだって心変わりするんじゃない!

あんなに桃子が好きだったのに、今度はあたしが好きとか言ってる!

いつか、あたしも飽きられて、山本くんは違う人を好きになるんだよ!

あたしはそんなのやだ!怖っ……」
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