浮気の定理
「やだなぁ、気にしてないって、冗談だよ

私の場合はもう全然未練ないし、別れてよかったって思ってるんだから」



桃子が明るくそう言って隣に座るありさの肩をパシパシ叩く。



雅人と別れてから、桃子は以前より明るくなった。



痩せ細っていた体も、すっかり元のラインに戻り、生き生きしているようにさえ見える。



負け惜しみじゃなくて本当に未練がないんだろう。



「そ、桃子には合わない相手だったのよ

あ~別れて良かった、ねっ?」



真由は相変わらずの毒舌で、桃子に同意を求める。



桃子はそれには敢えて返事をせずに、ニヤリと真由を見やって、おもむろに口を開いた。
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