浮気の定理
中でも皆が絶賛したのは豆腐しゅうまいと、引き上げ湯葉だ。



湯葉は紅葉おろしと生姜や胡麻を散らしていただく。



田楽やグラタンなど、少しずつたくさん食べられるのもコース料理のいい所かもしれない。



デザートの黒ゴマアイスと豆乳プリンが運ばれてきた頃には、物足りないかなと思われたお腹はすっかり満たされていた。



デザートを頬張りながら、真由がふと横に座る涼子に目を向けた。



梅雨寒とはいえ、今の時期なら上着を羽織れば中はみんな半袖や七分丈なっている。



涼子は長い袖を冬でもないのに手首まで下ろしていた。



「暑くないの?涼子」



真由にそう聞かれて、涼子はピクリと体をすくませる。
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