浮気の定理

「うん、最近なんか冷え性になっちゃったみたいでね？

あは、歳かなぁ……」



そう取り繕った涼子の言葉を特に疑うでもなく、真由はそっか、とまた目の前のアイスに視線を移した。



「そういえば花ちゃん、幼稚園慣れた？」



ありさの言葉に涼子はまた狼狽えるように目を泳がせる。



「あ……うん、そうだね」



「どうしたの？涼子？気分悪い？」



そんな様子に気づいたのか、桃子がそう声をかけてきた。



涼子はそれに答えることも出来ずに、体が震えるのを止められなかった。



「ちょっ！顔、真っ青だよ？大丈夫？」



真由が涼子を支えるように肩を抱く。



意識が朦朧としている。



無理して着ている長袖のせいで暑いのと、花のことを聞かれたことへの恐怖感が混ざりあって息苦しくなったのかもしれない。