浮気の定理
「じゃあ、あたしと桃子で涼子のこと送ってくから、ありさは帰ってもいいよ?」
真由がそう言って帰そうとするけれど、ありさはなかなかその場から動こうとしない。
「……でも」
見かねた桃子がありさを優しく帰るように促した。
「ほら、私と真由は一人なんだし、帰りが遅くなっても問題ないから
ありさは子供たちも和也さんも待ってるでしょ?
あとでまたちゃんと連絡するから、帰って?ね?」
ありさはまだ躊躇っていたけれど、桃子にそこまで言われて仕方なく、しぶしぶ帰っていく。
ありさには悪いけれど、今の涼子にはその方がありがたかった。