浮気の定理
お気に入りのウェッジウッドのカップを出して、ティーポットをお湯で温める。



それからどの茶葉にしようかと、たくさんのお気に入りが並べてある缶を眺めた。



紅茶が大好きで、少しずつ集めたコレクションだ。



なんとなくオレンジペコの茶葉を手に取ると、ティースプーンに3杯分をポットに入れる。



熱いお湯を注ぎ入れると、いい香りが鼻をくすぐった。



昨日焼いたクッキーを添えて、トレーに乗せたティーセットをリビングへと運ぶ。



それから白の光沢のあるテーブルの上にそれを乗せて、ありさの前にティーカップをそっと置いた。



「ありがとう、いい香りだね?このクッキーも涼子が?」



「うん、昨日の残りなんだけど……良かったら」
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