浮気の定理
その言葉を聞いて、ありさがここに来た意味をようやく理解した。



定例会での私の態度に違和感を覚えたんだろう。



桃子や真由にだって気づかれたのだから、当の本人が気づかないはずがない。



だけど理由は言えない。



それはルール違反だと思うから……



「別に何もしてないよ?なんで?」



「なら……いんだけど。なんとなく避けられてるような……気がしたから」



それでも腑に落ちないような顔で、ありさは私の顔色を窺ってくる。



――面倒くさい



そう思ったと同時に、私は思わず口に出していた。



「和也さんは元気?」
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