浮気の定理
曖昧に返事をしてじゃあねと電話を切る。



かえって涼子に心配をかけてしまったかもしれないと思った。



スマホを握り締めながら、もう誰かに相談するのはよそうと決心する。



自分の蒔いた種は自分で刈るしかない。



その場しのぎで誰かにすがっても、その相手に心配をかけるだけだと今回で学習した。



大きく息を吐き、気合いを入れると、ソファーから立ち上がる。



やはり食欲はなかった。



今日はシャワーだけじゃなくて、ゆっくり湯船につかろう。



そう決めて、お湯を溜めに浴室へ向かいながら、私は今日何度目だかわからないため息をそっと吐き出した。
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