浮気の定理
涼子の選択③



「ばじゃー、いきたかったな……」



家族三人での夕食の時間、花がそう呟いた。



「……花」



勇に遠慮しながら、そう小さくたしなめると、花は頬をプウッと膨らませる。



あの日、バザーのことを勇に話したのは、いつものように花が寝静まってからのこと。



花が行きたがってることを、なんとか伝えたけれど、勇の答えはノーだった。



以前から勇が予約してくれていた温泉に、一泊する予定が入っていたからだ。
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