浮気の定理
桃子の場合④
いつもの定例会でついそう聞いてしまったのは、涼子のおすすめの映画を観て、食事もあらかた終わった頃だった。
みんなが旦那の不満や、子供の話をする中で、急に聞いてみたくなったのだ。
私のそれは浮気というにはあまりにもお粗末で。
自分に覚えがない以上、私の中ではそういう括りにはなっていない。
どちらかというと、故意に襲われた感覚。
被害者と言ってもいいかもしれない。
あんな写真まで撮られているのだから、計画的だったのかとさえ思ってしまう。