浮気の定理
――勝った……



勇が諦めたように、私を体をぼろ雑巾のように投げ捨てる。



だから、わかってくれたんだと思ってた。



これで許してやるから、バザーに行ってきてもいいと言ってくれるんだと……



だけど勇の口から発せられた言葉は、無情にも予想とは相反するものだった。



「とにかく、バザーには行くな!旅行を優先しろ!わかったな?」



その言葉に絶望した。



自分が反抗してこんなに殴られたとしても、自分の意見なんか一つも通らないことを知る。



こんな風に行く家族旅行なんて、虚しいだけなのに……
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