浮気の定理
「花、もうその話はやめなさい。旅行に行けたんだから、良かっただろ?」
厳しい勇の物言いに、花は一瞬ビクッとしたけれど、それでもいつまでもふて腐れたままだった。
「りょこーなんか、いきたくなかったもん
ばじゃーのがいきたかったもん
ゆみちゃんだってね?あこちゃんだってね?
みいんな、いったって、いってた!」
――ダン!!
勇がテーブルを拳で思いきり叩いた。
花はビックリして泣き出してしまう。
「うわーん!パパなんて……パパなんて……だいっきらい!」
その瞬間、勇がガタッと立ち上がった。