浮気の定理
涼子の選択④
「わかった、今からすぐ行くから」
そう言い残して、一方的に電話は切れた。
勇のいない午前中――
花を幼稚園に送り届けてから、すぐに行動を起こした。
そうは言っても、今まで勇に縛られてたせいで、私はあまり世間を知らない。
こんなとき、どんな場所に相談すればいいのか、それさえも分からなかった。
だから、桃子に電話で助けを求めたのだ。
事情は簡潔に、勇に暴力を受けていると伝えた。
桃子は何も聞かずに、さっきの言葉だけを残したけれど、きっと真由にも連絡してくれてるのかもしれない。