浮気の定理
今までうわべだけで、誰のことさえ、親身に考えてなかったんだと思い知らされる。



みんなのピンチに私は何も出来てなかったというのに、みんなは私を助けようとしてくれてるなんて……



自分の薄情さが恥ずかしかった。



人のことを非難できるほど、自分はできた人間じゃない。



悲しみと後悔と羞恥と罪悪感。



でもそれ以上に、安堵感が漂う。


へなへなとその場に泣き崩れながら、私はずっと謝り続けた。



「……ごめんね?ごめんなさい……ごめん」



桃子の悩みに気付いてあげられなくてごめん。


真由のこと信じなくてごめん。


ありさにひどいこと言ってごめん。


それから、私のためにこんなふうに集まってくれて……ありがとう。


言葉には出さないけれど、そんな思いが溢れ出る。


周りのみんなは何も言わず、私が泣き止むまで、ただそっと見守ってくれていた。
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