浮気の定理

桃子の口が止まらないとわかると、真由は思い出したように立ち上がった。



「あ～、もうこんな時間！

ジンギスカンもビールもたくさん頂いたし、あたしもう帰る！」



「なによぉ、逃げる気？」



桃子がいつになく、真由に絡んでる。



真由は困ったような顔をして、桃子をピシャリと黙らせた。



「これから、その山本くんが迎えにくるんですぅ

愛されてるからね？あたし」



ニヤリと口の端を上げて笑みながら、桃子をそう挑発する。



「わ～、開き直った！いいわよ、いいわよ、早く帰んなさい！山本によろしく」



ヒラヒラと真由に背を向けて手を振る桃子が、どことなく寂しそうに見えたのは気のせいだろうか？