浮気の定理
淡々としたいつもの顔とは違う、艶っぽい笑み。



元々綺麗な顔にセクシーさが加われば、悩殺されてしまいそうだ。



けれどそういうのには騙されない自信があった。



だいたい、自分も容姿で近づいてくる男が多いわけで……



雅人だって、結局はそんなようなもんだった。



だから信じない。



こんなに簡単に、仕事中にナンパしてくるやつなんか……



「いつもは無関心なくせに、今日は積極的なんですね?」



精一杯の嫌みで返してやったつもりだったけれど、彼はまだ余裕の笑みを浮かべてる。
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