浮気の定理
居たたまれなくなって、先に帰るねと言ったのは、それからどのくらい経った頃だろう?



必死に引き止めようとする真由の中では、雅人は許せない人間になっているようだった。



それを制して私の意見を尊重してくれる涼子は、やっぱり大人だと思う。



ありさは何か言いたげに私を見ていたけれど、引き止めることも、真由を止めることもなく、寂しげに笑っていた。



学生の頃は何かあれば、ありさに相談していたのを思い出す。



私が他に抱えているものを見抜いているのかもしれない。
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