浮気の定理
「たまにはいんじゃない?
ああいうピュアな気持ちって、そろそろ忘れてくる頃だしさ」



一番文句を言いそうな桃子にしては珍しく、ありさを庇うようにそう言って、軽く微笑んだ。



その笑顔は儚げで、今にも消えてしまいそうなほど弱々しい。



前回からまだ一月(ひとつき)しか経っていないというのに、明らかに桃子は痛々しいほど痩せ細っている。



そこに誰も突っ込めないくらいの変わりように、3人は思わず口をつぐんだ。



一瞬、間があってようやく口を開いたのは、やはりありさだった。
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