浮気の定理
涼子と真由が臨戦体勢に入ったところで、今度は桃子が口を開いた。



「……産むつもりなの?」



ありさの目を真っ直ぐに見ながら、誰もが聞きたかった一番の核心に触れる。



全員が固唾を呑んで見守る中、しばらく黙っていたありさが、ようやく口を開いた。



「正直、迷ってる……」



トイレから帰ってきた時の彼女の微妙な表情が、それをすでに物語っていたのかもしれない。



それは桃子にとって、あまり気持ちのいい話ではなかった。
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