浮気の定理
普段は言い返すだろうシチュエーションなのに、なぜかありさは素直だった。



「わかってる……ごめん……」



ピリピリとした空気が張りつめて、息苦しくなった頃、真由が唐突に口を開いた。



「じゃ、そろそろデザートタイムにしない?」



そのセリフで一気に場の空気が和む。



こういうところは真由にしか出来ない才能だ。



そして空気が読めないのもたまには役立つ。



色とりどりのデザートを選べるのも、この店の売りだった。



デザートと聞いて、さっきまで険しかったありさと桃子の表情も緩む。



みんな一斉に席を立つと、デザートコーナーへと急ぐ。


たくさんのスイーツや果物を選びながら、さっきまでの険悪なムードを払拭するかのように、4人はわざと明るく振舞っていた。
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