浮気の定理
ありさの場合①
――やばいなぁ……ばれちゃったか……
小さく溜め息をつきながら、私は帰りの電車に揺られていた。
真由とは同じ沿線だけど、今日は買い物があるからと駅で別れた。
一人になりたい気分だったのもあるし、あれこれ聞かれるのも面倒だったのもある。
ふと振り返ると窓から青白く光るイルミネーションの景色が見えた。
それがもう12月なんだと実感させてくれる。
――そろそろあの娘達に、サンタにお願いするプレゼント聞いておかなきゃな……
そんなことを考えながら、そっとお腹に視線を移した。
きっとこの子には買ってあげることはないんだろうなと、申し訳ない気持ちになる。