悪魔の運動会
えっ⁉︎今のって__⁇
私は後ろの寺脇リカを振り返る。
リカは、ただ呆然と画面に見入っていた。
確か名前が呼ばれただけ。無記名投票じゃないってことは、誰かがリカに入れた?
思わず世古佳恵に視線をやると、その唇が吊り上がる。
「ちょっと世古さん、あなたさっき分かったって__」
そう詰め寄ろうとしたが、それ以上の言葉が出てこなかった。
なぜなら__。
「寺脇リカ」
またしても、リカに票が入ったからだ。
平等を約束したはずの棒グラフ。リカだけ一つ抜け出してしまった。
きっと植松理沙に違いない。
2人は共謀してリカを落とすつもりだ。
あと全員が無記名投票だとしても、リカだけ2票入ってしまう。
みんなで決めたのに__。
「どうせ足手まといなんだからいいじゃない‼︎」
開き直ったのか、世古佳恵が言い放った。
「そうよ‼︎どっちみちクラスにも馴染まなかったんだから!3年C組のお荷物じゃないの」
植松理沙も、憑き物が晴れたみたいに生き生きしている。
これではっきりした。2人がリカに票を入れたことが。
こうも堂々としていられるのは、なにも吹っ切れただけじゃない。
解放されたからだ。
自分が落とされる必要がなくなったから、恐怖から解き放たれたから、佳恵は勝者の笑みを浮かべているんだ。
しかし次の瞬間__。
「世古佳恵」