悪魔の運動会
「あんた、よくも私に入れたわね⁉︎」
笑みを歪めた佳恵が、リカの机をバン‼︎と叩いた。
さらに身を縮めるリカ。
彼女も、無記名投票をしなかったというわけか__。
でもそれは仕方ないのかもしれない。あれだけ佳恵に責め立てられていた。本人が1番、信じられなかったのかもしれない。
「ふん、どーせあんたが落ちるのよ‼︎あんたが失格者に変わりはないんだから‼︎」
罵声をリカの脳天に振り下ろす。
とうとう泣き出してしまったリカを庇ってやりたいが、佳恵の言う通りだろう。状況は変わらない。変えることはできない。
このままリカが失格となるだろう。
このまま___?
「えっ?」
私は耳を疑った。だって今さっき呼ばれた名前は、あり得ない。
呼ばれた当人が、ポカンと口を開けているくらいだ。
私は画面に目を戻した。
山が二つ並んでいる。
2票が入った寺脇リカと、同じく2票が入った、世古佳恵。
「うそ、なんで私が?うそよ、なにこれ?」
動揺した佳恵だったが、次の瞬間、血の気が引いた。
「世古佳恵」
とうとう、佳恵のグラフがリカを追い抜く。
失格者だと決めつけていたリカを、不本意ながら逆転してしまった__。