悪魔の運動会
【相原友子】
「間宮くん‼︎」
私は駆け寄ろうとしたが「クソが‼︎」と、間宮くんが直ぐさま立ち上がった。
「早く投げろ‼︎」
再びカゴを背負ったが、ほとんどの玉が溢れてしまっている。
それと同時に「残り時間1分」という最後通告までされ、私たち紅組はもうお手上げ状態だ。
玉を投げ入れるが、もう勝負は目に見えている。
今からじゃ、数で追い越すことは無理だ。いくら野球部が揃っていたとしても__。
「諦めるな‼︎」
安藤くんが、気の緩んだみんなを引き締める。
「残り時間あと30秒」
かなり挽回はしたが、どうだろう?
間宮くんさえ倒れなければ、間違いなく勝っていたのに__。
「どっか重たい玉が紛れ込んでる」
誰かがそんなことを言った。
だから間宮くんも、踏ん張れなかったんだ。そんな重たい玉を投げるなんて、卑怯すぎる。
でももう遅い。
それに、もし見つけたところで投げられるわけがない。
万が一、木崎さんに当たりでもしたら__。
やっぱりカゴに投げるしかない‼︎
あと30秒、一個でも多く、私は安藤くんに玉を渡す。
這いつくばって玉をかき集め、彼の手に思いを繋ぐんだ。
「残り20秒」