悪魔の運動会


【相原友子】


「間宮くん‼︎」


私は駆け寄ろうとしたが「クソが‼︎」と、間宮くんが直ぐさま立ち上がった。


「早く投げろ‼︎」


再びカゴを背負ったが、ほとんどの玉が溢れてしまっている。


それと同時に「残り時間1分」という最後通告までされ、私たち紅組はもうお手上げ状態だ。


玉を投げ入れるが、もう勝負は目に見えている。


今からじゃ、数で追い越すことは無理だ。いくら野球部が揃っていたとしても__。


「諦めるな‼︎」


安藤くんが、気の緩んだみんなを引き締める。


「残り時間あと30秒」


かなり挽回はしたが、どうだろう?


間宮くんさえ倒れなければ、間違いなく勝っていたのに__。


「どっか重たい玉が紛れ込んでる」


誰かがそんなことを言った。


だから間宮くんも、踏ん張れなかったんだ。そんな重たい玉を投げるなんて、卑怯すぎる。


でももう遅い。


それに、もし見つけたところで投げられるわけがない。


万が一、木崎さんに当たりでもしたら__。


やっぱりカゴに投げるしかない‼︎


あと30秒、一個でも多く、私は安藤くんに玉を渡す。


這いつくばって玉をかき集め、彼の手に思いを繋ぐんだ。


「残り20秒」






< 115 / 453 >

この作品をシェア

pagetop