悪魔の運動会
俺の投げた玉が、木崎涼子が背負うカゴに当たる。
大きく、木崎が体勢を崩した。
「おい‼︎まさかあれ、重たい玉じゃないだろうな⁉︎」
安藤が激昂して掴みかかってくる。
俺はその手を乱暴に払った。だってそうだろ?こうでもしないと、俺たちの中から誰かが【失格】となるんだから。
俺は間違っちゃいない‼︎
「あっ!玉が__」
誰かの呟きに、睨み合っていた俺たちはハッと白組を見やった。
下からふわっと投げたせいで、玉はカゴに沿うようにして__。
入った?
うそだろ?
しかも俺の投げたのは__白い玉。向こうに加点したっていうのか?
「そんな__」
膝から力が抜ける。
失格者は、俺だっていうのか?
しかし、その場に崩れ落ちなかったのにはワケがある。
俺より先に、木崎涼子が膝をついたからだ。
「涼子‼︎」
安藤が駆け寄ろうとする。白組の輪の中に飛び込もうとしていた。
当の白組は全員が、傾いていくカゴに手を伸ばしたが__。
「手を貸すのは違反です」
無情なアナウンスに、手を引っ込める。
完全にカゴの重さと、俺の放った最後の玉が決め手だろう。
そのままカゴを支えることができずに、前のめりに突っ伏す。
「__助かった」
俺は胸を撫で下ろした。
木崎には笑いが、失格者にはなりたくない。
カゴが地面に跳ね、白い玉が勢いよく飛び出すはずだ。
一つ残らず、玉を放出するはず__。