悪魔の運動会
男女混合8人でのレース。
誰がゴールしてもいいって話だ。
ぶっちぎりの1着でもいいし、協力し合って大将を決めてもいい。
白組はきっと、裕貴がくる。
「俺が行く」
直人が名乗りを上げた。
その目に、強い意志を感じた俺は当然、自分も後に続くつもりだったが__。
「旬は休んでくれ」
「なっ、俺が行かないと勝てないだろ⁉︎」
まさかの突き放す物言いに、ついカッとなる。
「まだ競技は続くんだ。ここで無理したら話にならない。これから、お前の力が必要になってくるんだ」
「直人__」
唇を噛み締め、俯いた。
馬鹿みたいにカッとして。直人は、俺を見限ったんじゃない。俺を必要としてくれているからこそ、今は休め、そう言っているんだ。
ズキンと、肩が痛んだ。
カゴごと倒れそうな時、俺は踏ん張った。ここで倒れてしまったら、みんなの努力が水の泡だ。その時、重みがまともに肩に食い込んだ。今もまだ痛みは取れない。
そのことを直人は見抜いている。
「__分かった。それじゃ、あと1人は?」
残っている男子は3人。
ここは野球部のどちらかに任せたほうがいい。周平と浩二、どっちがいいか?
2人を見比べていると、不意にあさってのほうから声がした。
「ぼ、ぼ、僕が行く‼︎」