悪魔の運動会


「位置について」


スタートラインに8名が並ぶ。


紅組は僕、斉木真一と安藤直人、女子は相原友子と久米茜の4名。


「おい、そこのオタク野郎。ションベンちびんじゃねーぞ‼︎」


白組はやっぱり、戸田裕貴と野々村哲也のヤンキーコンビ。女子は樋口美咲と清水奈々だった。


この中から1着でゴールした者が、そのまま組を勝利へと導く。


様々な障害物を乗り越え、校庭を一周し、再びここでゴールテープを切るんだ。


「よーい、スタート‼︎」


威勢のいい号砲とともに、僕は飛び出した。


ややフライング気味だといってもいい。そんなことはお構いなしに、全力疾走だ。


「ちょ、あいつ何だ?速くねーか?」


ヤンキーが驚いている。


僕はオタクなんかじゃない。不登校ながら、ちゃんと体は鍛えてきた。学校には行けないけど、引きこもりなんかじゃないんだ‼︎


1番に最初の障害物にやってきた。


アンパンだ。


いくつものパンがぶら下がっている。


僕は駆ける勢いそのままに、パンに向かってジャンプをすると、一つを口にくわえた。一発成功だ‼︎


次は子供用の三輪車が並んでいた。


一つに飛び乗り、後ろを振り返る。7人は未だパンに苦戦していた。


リードがどんどんと広がっていく。


これは勝てる‼︎








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