悪魔の運動会


「斉木‼︎そのまま突っ走れ‼︎」


間宮くんの熱い応援が、背中を押す。同じ紅組のみんなも、僕に声援を送ってくれた。


三輪車を下りると次は、網をくぐった。細かい網目も気にならない。


地面に這いつくばり、ほふく前進の要領で進んでいく。


すると今度は高い壁がそびえ立っていた。


ロープが垂れており、壁を伝って登っていく。


登り切ったところで振り返ると、まだ誰もパンを咥えられないようだ。跳び上がることもせず、途方に暮れている様子。


壁を下りると、次は平均台。


両手を広げてバランスを取り、ここも一気に渡り切った‼︎


もう、あとは走るだけ。


まだ誰も追ってはこない。


ぶっちぎりの優勝だ‼︎


ゴールテープが見えてきた。


そのまま1着でゴールをすると、紅組のみんなが盛大に迎えてくれた。


白組も予想外の僕の活躍に【斉木真一】の存在を認める。


僕という1人の人間が証明された瞬間だった。


あまりの圧勝に、胴上げでもしそうな雰囲気だったが、その後まだ誰もゴールしていないので、それはやんわりと断った。


しかし、今日という日が特別な日になったことは確かだ。


「勝者、紅組」


そんなアナウンスが、今日を彩ってくれるはずだったが__。






< 134 / 453 >

この作品をシェア

pagetop