悪魔の運動会
「斉木‼︎そのまま突っ走れ‼︎」
間宮くんの熱い応援が、背中を押す。同じ紅組のみんなも、僕に声援を送ってくれた。
三輪車を下りると次は、網をくぐった。細かい網目も気にならない。
地面に這いつくばり、ほふく前進の要領で進んでいく。
すると今度は高い壁がそびえ立っていた。
ロープが垂れており、壁を伝って登っていく。
登り切ったところで振り返ると、まだ誰もパンを咥えられないようだ。跳び上がることもせず、途方に暮れている様子。
壁を下りると、次は平均台。
両手を広げてバランスを取り、ここも一気に渡り切った‼︎
もう、あとは走るだけ。
まだ誰も追ってはこない。
ぶっちぎりの優勝だ‼︎
ゴールテープが見えてきた。
そのまま1着でゴールをすると、紅組のみんなが盛大に迎えてくれた。
白組も予想外の僕の活躍に【斉木真一】の存在を認める。
僕という1人の人間が証明された瞬間だった。
あまりの圧勝に、胴上げでもしそうな雰囲気だったが、その後まだ誰もゴールしていないので、それはやんわりと断った。
しかし、今日という日が特別な日になったことは確かだ。
「勝者、紅組」
そんなアナウンスが、今日を彩ってくれるはずだったが__。