悪魔の運動会
【間宮旬】
「第5競技は組体操、人間ピラミッドです。3段のピラミッドを作って頂きます。1番上の1名は立ち上がること、その1名がピラミッドから落ちた時点で敗けとなります」
競技の説明が終わった。
人間ピラミッド__けど、俺たちは1人少ない7人だ。
「下段を俺たち男子が固まるとして、次の中断に2人、さらに最上段に立ち上がる1人を決めないといけない。体重の軽いものが上段がセオリーだが__」
俺は言葉を濁した。
女子の中で体重が最も軽いやつは__。
「私が立つわ」
相原が名乗り出た。
「相原さん、ちゃんの話きいてた?間宮くんは、体重が軽いほうがいいって。明らかに私でしょ?」
寺脇リカがそれを遮る。
リカがスラスラ喋るのを初めて聞いた気がする。それに「間宮くん」と、なんだか寒気がした。
「でも上でバランスに耐えないといけないのよ?」
「平均台で何度も滑った人がよく言うわよ」
「それは、台が滑るように__」
「私が上に立つわ」
はっきり宣言するリカだったが、俺は相原を指名した。
そもそもリカは信用できない。わざと転倒する恐れもある。
口惜しそうに唇を噛んで俯いている。
けれど、その実リカがほくそ笑んでいたことを、俺は知らなかった__。