悪魔の運動会


【山寺正人】


僕たち白組は、意外とあっさりピラミッドが出来上がった。


てっきり戸田裕貴あたりが「俺様がてっぺんだ‼︎」とワガママを言うと思ったが、下段でいいと四つん這いになった。下手に調子に乗って落ちでもしたら、票が一斉に入ることを感じているんだ。


その横に野々村哲也と小林健、そして誰より大柄な立花薫が固める。


紅組より1人多い組体操、断然、有利だ。


中断に3人、敷き詰められる。安定感は増すだろう。


問題は、誰が上段をつとめるのか?


先ほど活躍した樋口美咲も「私が背を踏まれるなんて⁉︎」と不服を言うでもなく、木崎涼子とともに中段で納得した。


残るは、僕と伊藤明日香の2人。


ほぼ同じ背丈の僕たちはでも、あまりに重要なポジションに尻込みをする。


下はいい。ただ亀のように丸くなっていればそれでいいんだから。


でも1番上は、落ちてはいけない責任の重さが違う。


「早くしろよ‼︎なんなら俺が1番上でもいいんだぜ‼︎」


裕貴が体を起こしかけたので、明日香と話し合い、体重が軽いほうがトップに立つことにした。


いくら身長が同じだからって、まさか女子より軽いなんてことはないだろう。


「私は44kgよ」


「僕は__43kgだ」



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