悪魔の運動会
*投票第5回目
「それでは投票を開始します」
並べられた机。
机上のタブレット。
そして増えていく__空席。
「早くしろよ、早くー‼︎」
足で床を踏み鳴らし、投票を急かす。じゃないと、じゃないと__。
後ろを振り返る。
山寺正人は席についていない。つけないんだ。
グッタリと床に横たわっている。
裕貴らと運んだ。蜂に刺されて今にも死に絶えそうな、クラスメイトを。
「し、仕方ないじゃないか、こうするしか」
こうするしかないんだ‼︎
それが分かっているから、誰も反対しなかった。あの裕貴ですら、文句1つ言わず運んだんだ。
すべては山寺に投票するために。
画面がようやく開くと、俺はすぐに【山寺正人】の名前を押す。
【はい】or【いいえ】
もちろん【はい】を押し、投票が締め切られる1分間を待つ。
長くて非情な60秒。
数字はでも確実に減っていく。
早くしてくれ、早く‼︎
残り時間は30秒。
早く早く早く‼︎
刻一刻と減っていく時間。
それはまるで、山寺正人の命が尽きるタイムリミットのようで__。
あと20。
15。
10。
申し訳ないが、みんな山寺に投票している。俺が落ちるより、瀕死の山寺を落としたほうが今後のためには良いからだ。
あと5秒。
4、3、2__。
プツン。
画面が真っ暗になった。