悪魔の運動会
【安藤直人】
何もできなかった__。
運動会が始まる前、何とかすると約束した。
競技を重ねていく中で、手がかりや突破口を見つけてここから抜け出せると。だからそれまでは、おとなしく相手の言う通りに従おうと。
その結果、大事なクラスメイトを失った。
前半戦が終わり、何も光など見えてはいない。
このまま1人、また1人と仲間が消えていくのを、ただ見ているだけなのか?
俺は、何もできないのか?
動物たちが教壇に置いていったのは、弁当だった。
時間はお昼を過ぎている。
だが、誰1人、手をつける者はいない。それをあえて食べるよう説得しなくてはいけないのに、俺自身が喉を通りそうになかった。
このままじゃ、クラスが崩壊していく。
自らの力の無さに打ちひしがれていると__。
「安藤くん、聞きたいことがあるの」
ようやく泣き止んだ久米茜の肩を優しく叩きながら、相原友子が声を掛けてきた。
「失格になった皆んなは、どこへ行ったの?」
「どこへって__?」
「安藤くんに聞いても分からないよね。でも案外、家に帰ってたりしない?」
「家に?」
「そう。失格になったから、ここから出て家に帰ってるんじゃないかな?」
相原の言葉を、今は紅組全員が聞き入っていた。
でもそれなら__?