悪魔の運動会
どんどん失われていくクラスメイト。
それでも続く競技。間もなく後半戦が始まるという。
俺に食い止められるだろうか?
終わりない戦いと、どこまでも深い悲しみを止めることができるだろうか?
俺が今、やるべきことは?
やるべきこと__。
「おい直人、何してんだよ?」
周平を抑えながら、旬が俺に問う。その周平も、泣いていた相原も、俺のことを驚いて見ていた。
教壇の上の弁当を取り出し、蓋を開け、割り箸を割ってご飯に突き刺した、俺のことを。
ご飯は固くなっていたが、ご飯の味がした。
その時になって初めて、お腹が減っていたことに気づく。
油断すれば、食べたものを吐き出してしまいそうだったが、根性で押し込んだ。卵焼きに唐揚げ、次から次に口の中に入れた。
なにかを壊すように、それらを噛み砕く。
ひょっとしたら毒が入っているかもしれない。でも競技じゃないから、それはないだろう。
鼻水が出ても、涙が出ても、俺はただ弁当を食べ続けた。
競技は続く。
だから食べなくちゃいけない。
そんな思いに囚われ、ひたすらに食べ続けた。
「安藤くん__」
相原が、涙を拭いて椅子から立ち上がる。
弁当を1つ手に取り席に戻ると、唐揚げを1つ頬張る。
「__冷めてるけど、美味しい」
そう言ってまた、涙が頬を伝った。